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2009.08.03 Mon
 
            ウロコ

 画像をクリックすると写真が拡大されます。
 
 「ウロコ」 スピカの創作文学=10 小学校高学年から

 作:澤田徳子
 絵:太田大八

 出版:教育画劇
 ISBN:4-87692-067-2

 価格:1359円+税
 初版:1994年6月15日

 「昔ある国に、天台山という険しい深山があった。この山にある薬を採りにきた著者、白蓉はそこで竜を見る。その姿に心を奪われた白蓉は、故郷の母や恋人のことも忘れ、竜の行方を探し求めるが…。全5話を収録。」(amazon.co.jpより引用)


 目次:

 ・第一話 竜を見た
 ・第二話 再会
 ・第三話 仮面王女
 ・第四話 不帰山物語
 ・第五話 神竜






 タイトル買いでは見つけるのが困難な一冊です。竜もドラゴンもタイトルには入っていませんので。価格が半端な数字になっているのは本書が消費税3%の時代のものの為です。当時は税込み1400円です。

 竜のウロコに関わる5つの物語が時代、場所を変えて繰り広げられます。

 以下完全にネタバレです。


 第一話「竜を見た」。病気の母親のために薬草を取りに来たものの、山を降りることができずに死を覚悟する白蓉。山の頂上で力尽きようとしたそのとき、下界に広がる雲から現れたのは恐ろしい竜だった。白蓉は恐ろしさ以上に美しさを感じ、竜に心を奪われる。最後に竜が落としたウロコを、そして竜そのものを求め、自らが死にそうだったことも、母のことも愛した人のことも忘れ旅をする。
 希望と失望を繰り返し、人生すべてを竜に捧げた白蓉。白蓉がその人生で追いかけ続けたものはなんだったのか。

 第二話「再会」。一話と違い、舞台は遠い未来。宇宙ステーションで悪事ばかり繰り返す下級層のロトは、毎晩悪夢にうなされていた。生まれた星は不毛の地で、開拓団は次々と死んでいく。最後に残った17人で星を脱出するも、宇宙船のトラブルでロト1人だけが脱出することになる。最悪なことに脱出用カプセルの発射の影響で、発射直後に宇宙船は爆発。ロトは一緒に旅立った仲間が宇宙空間に放り出される一部始終を見てしまった。そして毎晩、彼らが夢に出てくる。ロトは悪夢から逃れるために悪事を繰り返す。
 ある日、ロトはこの宇宙ステーションもじきに機能が停止し終わりを迎えることを知る。そのとき偶然出会ってしまったエリート層の子供たち。ロトは何故だかわからぬまま危険を承知で子供をたすけようとする。ロトは危険を冒してもいつもなんとか助かった。船を脱出するときに仲間がくれたお守りがあったから。

 第三話「仮面王女」。ある王国に素晴らしい王と妃がいた。国も安泰、王と妃も愛で結ばれていた。たった一つだけ問題があったのは、子供ができなかったこと。このままでは世継ぎが生まれない。王は周囲から第二の妃を迎える提案をされるも断る。しかし妃は悩みぬいた結果、自らの侍女で美しい娘デルフィーヌを第二の妃にするよう自ら王に提案する。しかし、妃は心から身ごもりたいと願った。
 そして妃にも、侍女にも子供ができた。侍女は男の子ルシファを、妃は女の子セレナを…ただし世にもみにくい顔をした子を。妃は内密に仮面をつくりこの子にかぶせた。
 実はデルフィーヌは悪魔で、国をのっとるためにきたのだ。国を追放されたセレナは放浪し、いつしか妖精王のゾーンに出会う。ゾーンはセレナに大切なことを教え、セレナはついに悪魔を倒すために立ち上がる。…悪魔デルフィーヌのうなじには光るなにかがあった。

 第四話「不帰山物語」。4本指の右手と6本指の左手をもつさやは、生まれた直後から不幸な運命を背負った。母は出産後に死に、父もさやが幼いときに死んだ。村のものからは激しく罵られる毎日。さやは村の長者のもとで機織をして生活していた。その指を器用に扱い作る織物は町で評判になるほどだった。しかしさやは長者の元で一日中小屋にこもって一人で機織をしていた。
 ある日長者の家に生贄を命じる白羽の矢が刺さった。さやは長者の娘の代わりに生贄に出され、不帰山につれてこられたが、そこにいたのは優しい鬼だった。鬼はただ一人でいるのが寂しかっただけだった。人間に恐れられる鬼とさやの二人は互いに幸福に満ちた生活をおくる。しかしある日都から使者が送られ、帝のために織物を織らせるためにさやが連れて行かれ、鬼も捕まった。さやは鬼を、夫を助けるためだけに機織をしつづける。手がぼろぼろになっても続けた。さやは、鬼の家にあった竜のウロコを思い出した。ウロコはこの手の傷も癒してくれる。
 信じられない速さで織り上げた素晴らしい織物は帝に届けられるが、使者と長者は、この醜い手を持つものがこの織物を織ったということがばれないように、と考え、刀を持ってさやに近づいた。
 
 第五話「神竜」。瀬戸内海に建設された人口島に子供のためのパビリオンがあった。その表門と裏門に画家の絵を飾ることになる。テーマは竜。選考の結果、二人の有名画家が選ばれた。どちらが表門を飾るのかは作品を見て決めるということである。
 萩原は常にライバルと思っていた後藤が残ったことに苦しんだ。いつだって萩原は後藤に勝てたことは無い。萩原は常に後藤をライバルとおもっていたが、後藤にはそんな気がないことをしってさらに苦しんだ。何をやっても後藤においつけない。後藤は俺の持っていないものをすべて持っている。まさに天才だ。
 竜の下書きをするもうまくいかない。アシスタントに盗撮させた後藤の竜は、下書きだというのに美しすぎた。やはり追いつけない。表門を飾るにはこの竜を超えなければいけない。
 気分転換に公園にきた萩原は、少年が竜の絵を地面に描いてることに気づく。それも素晴らしい竜だ。少年は萩原に「この竜、うごくんだよ」と言って、描くのに使っていた不思議な光るもので絵をなぞる。たちまち竜は動き出し、萩原の周りを泳いだ。少年は光るものを萩原の手に乗せる。光ながら、熱を持ち始めたそれは、火傷しそうな熱さとともに萩原に気力を与えた。その日萩原は素晴らしい竜の下書きを完成させる。あの光るもののおかげだ。
 あの少年が後藤の息子だと知った。そしてあれは竜のウロコだという。病弱な少年はウロコのお守りを常に持っていた。萩原はまた製作にいきづまり、ウロコに目がくらむ。そして少年に近づき、一瞬にしてウロコを奪った。それから描き上げた竜は猛々しく迫力のある、素晴らしい竜だった。これで後藤に勝てる、そう確信した。
 後藤は製作をストップした。後藤の息子は亡くなったのだ。萩原がウロコを奪ったその日に倒れ、そして亡くなった。萩原は自らが犯した罪をわかっていながらも、欲望に勝てなかった。後藤に苦しみを味わわせたい、萩原が感じた辛さを苦しさを、すべて。
 作品の発表前夜、萩原はウロコを使って自らの「嵐竜」に目を書き込んだ。まさに恐ろしい竜。そしてこっそりと後藤のアトリエへ向かった。誰もいないと思っていたが、後藤が一人でそこにいたのだ。後藤が苦しみ、絶望し、萎えた中でかいた竜はどんなものか…。目の前に描かれた竜は…萩原は負を確信した。後藤の竜はまさに神竜だった。それに比べ萩原の竜は荒々しく下品な竜でしかなかった。崩れ落ちた萩原。自らのアトリエに走り出した萩原は自らの竜の額にウロコをはめた。


 ネタバレの上、どうしようも無い文章能力でごめんなさい。どうかご了承を。

 こうのように、5つの物語は主人公も舞台も時代もまったく違いながらも(中国の昔話、SFファンタジー、中世ヨーロッパ、昔の日本、そして現代の日本)、全てが独立した物語ではなく、ある物語はリンクしていたりもして非常に読む楽しさがあります。

 竜のウロコは不思議な力があるのです。そして、その力は持つものによって良くも悪くも働く。けっしてすっきりしためでたしめでたしで終わる物語ではないですが、後味の悪さはありません。むしろ素晴らしい。

 第一話は竜が大好きで竜を見たい、竜に会いたい、さらには竜になりたいと思っている人がいれば、是非読んでもらいたいです。第二話は、読んでいて恩田陸の小説を思い出しました。竜とは関係ないのでそこは置いておきます。それから宮沢賢治の『りゅうのはなし』もテーマとしてすごく似たものを持ってたきがします。読んでくださればわかると思います。優しさってぬるくない。あとは、第五話はやはり最後のお話だけあって、すごく大切に感じます。ウロコを手に入れようとする萩原に、納得がいくのです。人間ってそういう弱いものなんだろうなと感じます。目の前に願いをかなえる魔法のど道具があって、目がくらまない人っているんでしょうかね…。

 竜が登場するのは、実は第一話だけです。第五話には絵という媒体で物語に登場しますが。物語はウロコがメインです。ですが竜に関する物語としては非常に面白い作品だと思います。

 一応、小学生向けの児童小説ですが、大人が読んでも楽しめると思います。是非一度ご覧ください。
 
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